株価と為替の関係性
しばしば株式市場を大きく動かす原因となる為替相場。株式投資を行う方は、両者の関係性についてしっかりと知っておきましょう。為替レートは、通貨同士の交換価値を表わすものです。1ドル=110円だったものが、1ドル=100円になれば、「円高」になったと表現します。これは、今まで「1ドル」を110円で買っていたが、100円で買えるようになった状態であり、ドルの価値が値下がりした(ドル安)、逆に見れば円の価値が値上がりした(円高)ということになります。
これを取引の世界に当てはめると、海外からモノを買う場合に、1ドルの値段が付いているモノを110円で買うよりも、100円で買った方が得だと言えます。円高になると、輸入モノのセールが行われるのはこのためです。
では、逆に海外に対してモノを売る場合はどうでしょう。買う側の外国人の立場で考えます。
日本で110円のモノを今までは1ドルで買っていたのに、1ドル100円の円高になってしまったら、110円のモノを買うためには1ドル10セントを出さなければいけません。
外国から見れば、円高は日本のモノが値上げされたのと同じことになります。
ちなみに、円安になった際はまったく逆の状態になります。円高になると、海外では日本の製品が値上がりしますので、ほかの国の製品との価格競争力が落ちます。したがって、輸出をしている企業にとって、円高は業績にマイナスの影響、円安はプラスの影響を与える可能性があります。
日本は、世界に展開している輸出企業が多いため、円高になると輸出企業の株価を中心として市場全体が値下がり、円安になると値上がりする傾向が顕著です。景気が良くなり株価も上昇してくると、投資を目的としてその国に通貨の購入が増加し、高くなる傾向があります。
ただし、為替市場の日本円の流通量を考えると、日本株の上昇で為替レートを動かす状況は考えづらいと言えます。市場の小さい新興国株価と通貨であれば、そういった事態も起こり得ますので、注意が必要です。
日本には輸出企業が多く、為替が業績を大きく左右するため、各企業は為替リスクに大変気を遣っています。各社で為替レートを予想し、円高と考えるならば、円高で自社が損失を被らないようにリスク回避対策を行っています。
例えば、生産拠点を海外にシフトしたり、円高で収益が上がるように外国通貨を売り建てたり(本業の損失を埋め合わせるヘッジ)といった方法が考えられます。
そういった経営をするため、急激な為替レートの変動では痛手を避けられないこともありますが、緩やかに円高になっていく局面では、大きな損失は回避できるようです。
そして各企業は、自社の翌年の業績を予想するために、「想定為替レート(前提為替レート)」を設定します。保守的な輸出企業は、円高局面で現在のレートよりも円高に見積もります。
例えば、現在1ドル=105円だとすると、来年は100円や95円などです。その設定したレートを元に、どれだけの収益が確保できるかを計算して発表しているのです。
株式投資をする時には、会社が発表するその業績予想を参考にしますが、仮に100円で想定されている場合、実際にそれよりも円安の102円になれば、その企業は予想したものより良好な業績を達成する可能性が高くなります。
これは、業績の上方修正といって、株価に非常に大きな良いインパクトを与えます。
このことから、銘柄選択をする際は、その企業が想定為替レートをいくらとしているかもチェックすることをおすすめします。
0コメント